Linear ベストエッセイセレクション
無から有を生む知力とは
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人工知能における最大の欠落とは
 人類の知的ツールとして人工知能に注目が集まっている。 未来の社会には必要不可欠なツールとなるであろうというのがその理由である。 だがこの知的ツールは万能ではない。 なぜならその知力は、有から有を生みだす知力であって、無から有を生みだす知力ではない。 人工知能の知力とは、かって人類によって考えられたアイデア、語られてきた物語、蓄積されてきた知識等々の、言うなれば従来からすでにして存在する有を使って妥当な解答を効率的に導き出す 「編集能力」 に他ならない。 言うなれば、優れた記憶力と分析能力を持った秘書のようなものであって、それ以上のものではない。 それは有から有を生む知力であって、無から有を生む知力とは本質的に異なる。 インプットなしに、何事かをアウトプットするコンピュータなど寡聞にして私はいまだ見たことがない。 人工知能における最大の欠落とはそのことである。
2026.09.03
意識跳躍〜無から有への変換
 ではインプットなしに何事かをアウトプットするコンピュータとは、いったいどのようなものなのか? コンピュータの思考が 「ロジック(論理性)」 を基とすることからすれば、その思考は 「非ロジック(非論理性)」 なものとなるのは必然の流れであろう。 それは般若心経が説く 「色即是空 空即是色」 のごとく、「ある(存在)」 と思うと 「なく(非存在)」、「ない(非存在)」 と思うと 「ある(存在)」 のごとくに 「意味不明」 である。 それを私は 「意識跳躍」 という言葉をもって表現している。 それは意識が何の脈絡もなく異次元世界へ跳躍する 「意識変換」 を意味している。 曰く、無から有への変換である。 さらに言えば、非ロジックからロジックへの変換である。 人工知能が為しえない非ロジックな思考とは、かくなる意識跳躍の中に隠されているに違いない。
2026.09.04
意識跳躍と仮説
 知的課題の解決に至る方法として 「仮説」 という 「思考実験」 がある。 これもまた無から有への意識変換メカニズムのひとつである。 何の脈絡もない意識跳躍によって、突然に課題解決に至る道筋が見えることがある。 この道筋によって得られた解答案が 「事態を矛盾なく説明できるのであれば」 それは仮説となりえる。 私はこの思考実験を使って、さまざまな課題にアプローチしてきた。 科学哲学的な 「宇宙モデル」 や、歴史的な 「安曇野古代史」 における仮説論考はその代表である。 かくなる仮説の概要は 「ペアポール宇宙モデルに寄せて」 や、安曇古代史仮説 「安曇野の点と線(安曇古代ロマン)」 等々で述べている。 またその仮説に導いた意識跳躍を 「直観的場面構築」 と題して、別に論考している。 それぞれ拝読願えれば、もって幸甚である。
 だが仮説はあくまでも 「解答案」 であって、その案に矛盾が発生すればたちまちに破棄される運命にある。 言うなれば 「暫定的な解答」 である。 日本人初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹博士の 「中間子理論」 もその後の実験によって正しさが証明されるまでは仮説であった。 また宇宙の果てほどに隔たったふたつの粒子が、光よりも速く伝わる物理的効果によって連絡しあっているとする 「量子もつれ」 もその現象が実証されるまで100年近くに渡って仮説であった。 無から有を生みだす知力とはそういうものである。 果たして瞬時に有から有を生み出す人工知能の知力にそれほど長きに渡って 「考え続ける忍耐力」 が備わっているのであろうか? 問題はそこである。
2026.09.05

2026.09.08


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