Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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永遠と無限の彼方〜知のワンダーランドをゆく
 第2078回 「永遠と無限の消滅」 では時間軸に関する果てのなさと空間軸に関する果てのなさについて思考した。 その帰結は、時間軸を構成する時間と空間軸を構成する空間が存在しなければ、永遠や無限の概念もまた消滅してしまうというものであった。
 ここでは視点を変えて、時間と空間の構造からの永遠と無限について思考する。 時間の消滅をもたらしたものは線形時間の廃棄である。 線形時間とは過去・現在・未来が直線状に連続する時間概念であって、時間は過去から未来に向かって流れる(進行する)。 他方、私が円形時間と呼ぶ時間は、過去・現在・未来が円環状に連続する時間概念であって、時間は過去から未来に向かって進行するが、再び過去に回帰する。 線形時間における永遠と無限は線形時間を廃棄すれば消滅するが、円形時間における永遠と無限は時間の循環であるため回帰までの時間の進行はゆるされている。 だが回帰後の新たな時間への展開はゆるされない。 それは再び繰り返されるだけである。 問題は回帰までの周期時間である。 ポアンカレ循環のように永遠の周期時間もあれば、春夏秋冬のように一年の周期時間もある。
 その構図を空間に転じれば、線形時間と円形時間の概念は、平面空間と球面空間 に置換される。 平面空間の性質はユークリッド幾何学で、球面空間の性質は非ユークリッド幾何学で説明される。 両者の違いは無限の彼方で平行線が交わるか否かである。 平面空間でのユークリッド幾何学は交わらないが、球面空間での非ユークリッド幾何学は交わる。 だが平面空間が球面空間の曲率無限大の存在であると考えれば、無限の彼方では平行線は交わることになる。 線形時間もまた円形時間での周期時間の無限大の存在であると考えれば線形時間もまたいずれ回帰する循環時間となる。
 かって地球が球状であることを知らなかった者からすれば、大地は平面であって地の果ての世界は破綻して思考不能となる。 だが大航海時代を経て大地が球面であることを知った者からすれば、地の果ての世界は破綻せず思考可能である。 同様に線形時間しか知らない者からすれば、時間の始まりや終わりは断裂していて思考不能である。 だが円形時間を知った者からすれば、時間の始まりや終わりは連続していて思考可能である。 かくなる思考を可能にしたものは、線形から円形への意識跳躍であり、平面から球面への意識跳躍である。
 
 1999.年2月28日 初版第1刷 で発刊された 科学哲学エッセイ 「Pairpole」 の中で掲載された 「Pairpole 宇宙モデル」 の末尾で、私は 「宇宙の果て問題」 について、以下のように書いた。
 環状連鎖ウェーブコイルは群を成し宇宙空間に散在している。 この風景はまた池の水を顕微鏡で覗いた時に見える風景でもある。 大宇宙と小宇宙の区別はどこにもな く、 細部は全体であり、全体は細部である。 つまり、宇宙には大きさはなく、構造のみが存在するのである。 我々自身が一杯のコップの水の中の宇宙に存在しているのか、池の水の中の宇宙に存在しているのか、はたまた大海の水の中の宇宙に存在しているのか特定することは永遠に不可能である。 あれよりこれが大きいとか、小さいとか、遠いとか、近いとかのサイズの概念は我々人間が生活上の必要性から創った概念であり、宇宙の概念としては適用できない。 この人間が創ったサイズの概念が 「宇宙の果て問題」 を発生させた。 つまり、宇宙の果てはどうなっているのかという問いである。 この問いを解いた人は未だいない。 それは大きさという概念をもってして考えるからであり、この概念を捨て去れば、この問題は難なく解ける。 つまり、宇宙とは仕組みという概念であり、大きさという概念ではない。 大きさという概念がなきところに宇宙の果てという概念はもとから存在しないのである。 この仕組みこそが宇宙の構造でありメカニズムである。 この宇宙の仕組みがなぜにこのようなのかは、もはや神のみぞ知るところであろう。
 宇宙の探求は、その究極において、時間と空間の特異点である 「永遠と無限」 に帰着する。 この宇宙が時間と空間で構成された 「時空間」 であってみれば、それは当然至極のことである。 特異点とは科学理論が破綻してしまう限界点であり、その先には科学的思考をもってしては進むことはできない。 そのため 「Pairpole 宇宙モデル」 の構築にあたっては、別次元の視点をもつ哲学的思考を使って、その特異点の突破を画したのである。 構築された宇宙モデルを 「科学哲学的なアプローチから考えられた宇宙モデル」 としたのはそのためである。
 かくして今日もまた、知的冒険の旅は彗星のごとく遠大な楕円軌道を描いて知のワンダーランドを彷徨してゆく。 いったい何処へ ・・ 畢竟如何。

2026.05.25


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