「天災は忘れた頃にやってくる」 とは自然災害の恐ろしさは忘れた頃に再び起こるという戒めで、物理学者であり随筆家でもあった寺田寅彦の言葉とされている。
それとともに国家を脅かす敵として天災ほど恐ろしい敵はないことを説いている。 戦争は避けようと思えば人間の力で避けられなくはないだろうが、天災ばかりは科学の力でもその襲来を中止させるわけには行かない上に、いついかなる程度の地震暴風津波洪水が来るか容易に予知することもできない。
最後通牒も何もなしに突然襲来するのであるから国家を脅かす敵としてこれほど恐ろしい敵はいないと断じた。 さらに文明が発展すればすほどに、天災による損害の程度も増大することを充分に自覚して、平時から高度に発展する現代社会に対応した防護策を講じなければならないと警鐘を鳴らした。
事実の裏に隠された真理を見抜くその観察眼の確かさは敬服にあたいするものである。 経済成長と戦争に明け暮れる現代人の盲点を鋭く切り裂いた
「寺田寅彦の慧眼」、まさに畏るべしである。 |