Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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確率的世界の到来〜確信の終焉
 混沌のカオスを語る 「カオス理論」 から導かれた 「バタフライ・エフェクト(バタフライ効果)」 の根底にはエントロピ(曖昧量)の増大による事態の無秩序化が横たわっている。
 以下は事態の無秩序化を描いた 「確信の終焉」 からの抜粋である。
 ニューヨーク・タイムズ紙は 「確信の終焉」 を論じたプリゴジンの著書 「混沌からの秩序」 をあまりに危険すぎるとして論評を差し控えた。 もし科学が確信をもたらすことができないのであれば、いったい 「何を信じたらよいのか?」 というのである。 おそらくプリゴジンは確信の終焉した時代における拠り所は 「確率である」 と言いたかったのではあるまいか? それは 「事態はこうであるかもしれないし、こうでないかもしれない」 という確率で語られる世界である。
 現在進行している 「負の連鎖反応」 の核心はこの 「確率論への移行」 にともなう 「確信の喪失」 であろう。 今や事態の推移は確率でしか論じられないのか? 地球の片隅で羽ばたいた1匹の蝶によって世界が崩壊してしまうというバタフライ・エフェクト(バタフライ効果)の予見は正しいのか間違いなのか? かってニュートンやアインシュタイが描いた宇宙は 「こうである」 とした確信に満ちた絶対的世界構造であった。 だが今や宇宙は 「こうであるかもしれないし、こうでないかもしれない」 とする不信に満ちた確率的世界構造へと移行を試みている。 しかしながら、この世界像の正誤を判断できる者はいまだ現れていない。 人類は大間違いをしているようにもみえるし、それが大正解のようにもみえる。 ではいったい。 畢竟如何。

2022.09.12


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