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ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季

窓の向こうに世界が見える〜信州つれづれ紀行から
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富士見高原ゆりの里 / 長野県諏訪郡富士見町
恋人
 たどり着いたときにはすでに園内に「蛍の光」が流れ、「ゆりの里」は閉園を告げていた。暑かった一日もようやく終わりに近づき、涼風が吹き抜け、柔らかな西日が山腹を照らし出している。このまま帰るに忍びず、園内を眺める駐車場の縁に三脚を据えて撮影していると、どこか遠方から訪れたのであろうか、1人の観光客(中年おじさん)が、「どこかから中に入れないかな ・・・」と独り言のように、あるいは私にたずねるように、つぶやきながらワイヤーが張られた柵に近づいて行った。見ると柵には「通電中」の看板が、あわてて「電気が流れていますよ」と呼びかけると、しぶしぶ引き返してきた。
 「中に誰かいるのですか」とたずねると、「恋人がね」と、にっと笑った。
 笑い返すと、「あんたも同じでしょ」と言う。
 つまりは、このおじさんにとっては、「ゆりの花は恋人」というわけであり、撮影しているあんたもまた、「それは同じだ」というわけである。
文・撮影 / 柳沢 健
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