Linear ベストエッセイセレクション
吉田拓郎の風景
Turn

今日までそして明日から
 人が生きるにおいての 「一大事とは何か?」 と考えれば、時速500kmで東京−大阪間を約1時間で結ぶ世界最高速リニア新幹線ができたとて、短縮される1時間半(現在は東京−大阪間を約2時間半)で、人はいったい 「何をしようとする」 のであろうか? そう考えると、世のあちこちで吹聴される 「一大事、一大事」 とは、いったい 「何を意味している」 のであろう。
 以下記載の 「今日までそして明日から」 は1970年、吉田拓郎がデビューした年に作った曲である。 拓郎24才であった。 今や伝説となった 「つま恋 2006 コンサート」 では、この曲のエンディングを何度も何度も繰り返した拓郎に、35000人の観客はあらためて歌詞の意味を確かめながらともに歌い続けたと言われている。
今日までそして明日から / 作詞 吉田拓郎 作曲 吉田拓郎

私は今日まで生きてみました
時には誰かの力を借りて
時には誰かにしがみついて
私は今日まで生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも こうして生きて行くだろうと

私は今日まで生きてみました
時には誰かをあざ笑って
時には誰かにおびやかされて
私は今日まで生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも こうして生きて行くだろうと

私は今日まで生きてみました
時には誰かに裏切られて
時には誰かと手をとり合って
私は今日まで生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも こうして生きて行くだろうと

私には私の生き方がある
それはおそらく自分というものを
知るところから始まるものでしょう

けれど それにしたって
どこで どう変ってしまうか
そうです わからないまま生きて行く
明日からの そんな私です

私は今日まで生きてみました
私は今日まで生きてみました
私は今日まで生きてみました
私は今日まで生きてみました
そして今 私は思っています
明日からも こうして生きて行くだろうと
 若干24才にして 「生きる意味」 に逢着するとはなんたる早熟。 面目躍如たる 「吉田拓郎の風景」 である。
(※) また 「つま恋 2006 コンサート」 では、同時に 「中島みゆきの風景〜君よ、永遠の嘘をついてくれ」 が描かれている。 あわせてお読み頂ければ幸いである。

2023.08.30


copyright © Squarenet