Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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賢く負ける〜敗者の価値
 以下は格闘家であるとともに哲学者でもあったブルース・リーの言葉である。
Don’t think, feel 考えるな、感じろ
何かについて考えすぎると、それを成し遂げることは到底不可能である。
パンチに予備動作を加えてはいけない。 瞬時に打て。
私は自ら進んで人を傷つけようとは思わないし、たやすく傷つけられるつもりもない。
俺はお前のために生きているのではない。 お前も俺のために生きているのではない。
勝つか負けるか、戦いの結果を予測することは大いなる間違いだ。
自然に任せていれば、ここぞという時にひらめく。
鉄則を学び、鉄則を実践し、やがて鉄則を忘れる。
形を捨てた時、人は全ての形を手に入れる。
スタイルを何も持たない時、人はあらゆるスタイルを持つことになる。
皆が皆、勝つ方法を学びたがる。 しかし、決して負ける方法は学ぼうとしない。
 世にさまざまな箴言があろうが 「負ける方法」 を述べたものなどにはそうそう出会うことはない。 そこにはブルース・リーの面目躍如たる 「知恵の世界」 が垣間見える。 現代は 「勝ち組、負け組」 と揶揄される 「勝つことだけの価値観」 に占領された社会である。 自由主義経済の中核はこの価値観を土台にした自己責任論を基に構築されている。 それは 「勝たなくては意味がない」 という弱肉強食の世界であって、敗者は生存さえも許されないかのような世界である。 このような世界に住めば、誰しもが敗者を忌み嫌い勝者を目指すのはむしろ必然の帰結であろう。 その中で 「敗者の価値」 を見いだした 「ブルース・リーの慧眼」 はまさに畏るべきものであって、常人の遠く及ぶところではない。
 現代人の多くは勝つことばかりを考えて負けることを学ぼうとしない。 勝つためには手段を選ばないという頑なな姿勢はかくなる愚かさの様相を物語っている。 人類は大いなる視野の狭窄に陥ってしまったようである。 その狭窄があまりにも大きすぎて確と自覚されないだけである。 行き詰まった世界を突破する妙薬は 「賢く負ける」 ことに尽きている ・・ 畢竟如何。

2026.10.10


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