| 「ホーキング博士の警告」 や 「文豪ゲーテの警告」
はそれぞれ人工知能や科学に対する人類の敗北を描いたものであるが、大局的俯瞰をもって眺めれば、人類が遥かな歴史空間の中で築きあげてきた文明そのものに敗北しかかっているように見えてくる。
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| 現代社会が遭遇しているさまざまな問題もたどってみれば、そのどれもが築きあげた文明そのものに起因することに漂着する。
地球温暖化しかり、地球表面にくまなく張りめぐらされたコンピュータネットワークによる情報社会に端を発する混乱と争いはとどまるところをしらない。
減速すべきは人工知能のみならず、文明の開発そのものである。 人類はどこかで帰るべき 「ふるさと」 を見失ってしまったようである。
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| 以下の2編のエッセイはかくなる 「人類の蹉跌」
を描いた断章である。
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| インターネット社会ではさまざまな情報が地球上を所狭しと猛烈な速度で駆け回る。
物理的な世界と異なって情報世界は距離の制約がないだけにその速度は 「無限大」 に近づいていく。 かって高度経済成長下での東京は
「眠らない街」 と呼ばれたが、今や地球そのものが 「眠らない惑星」 になってしまったようである。 よもや達成されることはないと思っていた
「世界はひとつ」 という標語は今まさに現実になろうとしている。 それは人類がもった歴史の中では空前にして未曾有の出来事である。
かくなる達成が 「何を意味するのか」 を考えなければならないのであるが、達成を成し遂げた当の人類そのものが事の次第を量りかねている。
達成された世界は 「豊饒の大地」 なのか? それとも 「球形の荒野」 なのか? 問えども眼前に広がる空漠の大地は何もこたえてはくれない。
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| インターネットが創りだした 「眠らない惑星」
に特段の内実は存在しない。 地域を失った全体の世界とは 「大いなる空白」 であって、そこに存在するものは 「無味乾燥の虚無」 である。
達成された 「世界はひとつ」 はグローバルスタンダード(世界標準)の名のもとに構築された巨大な経済システムであって、それを人類幸福のための
「世界はひとつ」 に置きかえることは、はなはだ浅慮であって、その思考は錯誤の道に迷い込んでしまう。 人類個々人はそれぞれ 「唯我独尊の顔」
をもっているのであって、それを 「金太郎飴」 のごとき 「どこを切っても同じ顔」 であるような 「世界標準の顔」 に代えてみても
「人間としての実存」 が得られないことは明白であろう。 無味乾燥の虚無とは、言うなれば、その独尊の顔を世界標準の顔にしようとするようなものである。
「細部は全体であり、全体は細部である」 とするフラクタル宇宙の構造法則からすれば 「地域を失った全体で構成されたインターネット社会」
とは 「細部を失った全体で構成された宇宙」 のようなものであって存在そのものさえ危うい状態にある。
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