| 以下の記載は 第1127回 「酒場にて〜破綻」
からの抜粋である。
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| 松本市の小さなスナックで関西学院大学教授の宮原浩二郎君
(※あえて君というのは彼が教授と言われることを好まないため) と飲んだ時のことである。 私たちの隣席では 少々酩酊状態の青年たち3人が
カラオケで気勢をあげていた。 その内の1人の歌唱に対し宮原君が 「君の歌は破綻していない」 と言ったのである。 言われた当人は目を丸くしていたが、しばらくしてまんざらでもない表情を浮かべた。
彼の歌は右にふらふら左にふらふら行きつ戻りつ、あたかも断崖絶壁の稜線をかろうじて渡っているような危うさであったが決して足はふみはずさないものであった。
さらにその乱調子が歌唱に独特な情感を醸し出し、いうなれば 「聴かせる歌」 となっていた。 それを宮原君は 「君の歌は破綻していない」
と評したのである。
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| 破綻しているかいないかは 「重要なポイント」
である。 奇才ビートたけしの過激なつぶやきは、破綻しているようで決して破綻していない。 名だたる政治家の整然たる演説は、破綻していないようでまったく破綻している。
ニーチェ哲学の研究者でもある宮原君のような人跡未踏の荒野を拓く者にとっては、破綻しているか否かは 「生命線」 である。 時としてその限界を歩かなければならないが破綻してしまっては何もならないのである。
ゆえに宮原君は教授として 「君の歌は破綻していない」 という最高の讃辞を彼に授与したのである。
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| 「破綻」 と 「矛盾」 は似て非なるものである。
それは矛盾していても破綻していないということもあれば、矛盾していなくとも破綻していることがあるからである。 つまり、破綻とは矛盾という論理性をも超えた
「思考中枢の本質的概念」 にもとづいているのである。 (2017.11.27)
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| それから10年余、社会の喧噪は激しさを増し、混乱は混沌として事態は制御機能を失った暴走列車の様相を呈している。
阻止すべく開発された人工知能はかえって事態を複雑化させ沈静化させるどころか拍車をかけるだけで、解決の糸口は遠ざかるばかりである。
断崖絶壁をかろうじて渡っていた危うき 「破綻の臨界点」 は今や目前に迫っている。 笑って聴いていた乱調子の歌唱も逸脱してしまっては、もはや聴くに堪えない。
思考中枢の本質が壊れてしまっては人間 「万事休す」 であって、いつ 「心身崩壊」 に至っても不思議ではない。 世界は今、その瀬戸際に立っているのである。
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