Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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統一理論の真象とは
 「境界なき宇宙」 では、「量子もつれの実証」 から導かれた宇宙の非局所性の核心である 「宇宙のボーダーレス(無境界)とセンターレス(無中心)」 について論じた。 また 「ホロニック〜宇宙内蔵秩序」 では、どんな部分にも全体の動向がふくまれているとする 「部分=全体系」 に関わるホロニックな宇宙構造について論じているが、その語るところは宇宙の 「非局所性の構造」 そのものである。
 大乗仏教の中心経典である華厳経が説く 「一はすなわち一切であり、一切はすなわち一である」 とする教義しかり、フランスの数学者、ブノワ・マンデルブロが説く 「全体の形状と部分の形状が自己相似になっている」 とする幾何学概念しかり、理論物理学者、デビット・ボームが説く 「目に見えるすべての明在系には宇宙の一切を統御する暗在系が含まれている」 とする宇宙構造しかり、茶人、千利休が看破した 「世の中のこと一杯のお茶にしかず」 とする茶の湯の世界しかり ・・ そして、私が提示した 「細部は全体であり、全体は細部である」 とする宇宙モデルの構造等々。 これらはすべて 「宇宙の非局所性」 を述べたものであるとともに、同時に 「宇宙のホロニック性」 を述べたものでもある。
 あるいは、これらが語る 「宇宙の内蔵秩序」 こそが、物理学の究極の目標である 「統一理論」 の真象なのかもしれない。
 
※)統一理論とは
 相対論と量子論を統合するものが 「統一理論」 と呼ばれる理論である。 アインシュタインは生涯を賭けてこの統一理論の構築を夢見たが、ついには到達できずこの世を去った。 その後を継いだロジャー・ペンローズ、デビット・ボーム、スティーブン・ホーキング等もまた果敢にこの統一理論の構築に挑戦してきた。 ペンローズはスピン(回転)を基本にしたスピノールという量による渦巻き状の 「ツイスター宇宙」 を提唱し、ボームは意識的アプローチを基本とする 「暗在系と明在系で構成された宇宙」 を提唱した。 また車椅子の天才科学者、ホーキングは超ミクロのひもの振動を基本とする 「超ひも理論」 こそがこの統一理論であると考えている。

2025.12.09


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