Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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混乱解決へのアプローチ〜局所から全体へ
 複雑系カオスが支配する現代社会の混乱は、いかにして解消されるのであろうか? 現代社会の混乱は社会の局所としてのいたるところでバブル(泡沫)の如く発生している。 だが局所的個別の混乱が解決されたとしても、その解決情報が局所から全体に瞬時に伝達され、合成された混乱は全体の混乱を収束させるどころかさらに拡大させ、事態をより複雑化したものへと変質させてしまう。
 かくなる二律背反(アンビバレンツ)を解消するためには、個々の局所的混乱を解決させるのではなく、全体の混乱をひとつのものとして 「一挙に解決する」 ことである。 だがそのアプローチを知ってか知らずか、様相はいまだ個別の解決にのみ奔走しているようにしかみえない。 個別の混乱が集合された全体の混乱を 「ひとつの混乱」 として考えるとは、各個別の混乱に共通する 「共通項を抽出する」 ことに他ならない。 その共通項が 「進歩する」 であれば 「進歩を減じること」 が、「競争する」 であれば 「競争を減じること」 が、「拡大する」 であれば 「拡大を減じること」 が ・・ その解決策となる。
 巷間の標語は 「○○ファースト」 が大流行である。 アメリカファースト、日本ファースト、都民ファースト、果ては自分ファーストまで、列挙にことかかない。 だがこれらはすべて局所的個別の混乱の解決策でしかない。 アメリカファーストはアメリカ個別の混乱を解決させたとしても、その解決情報が局所から世界全体に瞬時に伝達され、合成された世界全体の混乱は収束するどころかさらに拡大して事態はより複雑化してしまう。 他の○○ファーストもまた 「以下同文」 である。 個に執着すればするほどに 「全体が失われてしまう」 のである。 全体が失われてしまっては 「元も子もない」 ではないか。
 複雑化した局所の混乱に複雑な対応策を用いても効果が期待できないことは少し考えれば解ることであろう。 全体の混乱への対応策は、そこに居住する生きとし生ける誰もが今の今から実行可能な簡潔明瞭なシンプルなものでなくてはならないのである。 混乱で騒然としているのであれば 「静かに」 が全体に向けての対応策であることは言うまでもない。
 以上の論考は 第1962回 「宇宙の非局所性」 を基にして構成されたものである。

2025.08.05


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