いつもであれば、7月も過ぎれば蝉の鳴き声がここだも響いているはずなのだが、あたりは静寂な夏日に包まれている。
聴けば、「短い梅雨と急激な暑さ」 のせいで羽化に失敗したのではないかという。 蝉は気温が35℃を超えるとあまり鳴かなくなるらしい。
信州つれづれ紀行 第630回
「蝉が鳴かない夏」 では訪れた霧ヶ峰高原で体験した 「蝉が鳴かない夏」 を以下のように書いている。 |
この時期、霧ヶ峰高原は高嶺に咲くニッコウキスゲの群生に彩られる。
長雨の冷夏のせいか今年の群生は寒々として勢いがない。 聴けば野生の鹿が花茎を食べてしまうからともいうが、多くは異常気象にその因を成すのではなかろうか?
このままでは夏がないまま秋風が吹く季節となってしまうかもしれない。 朝夕に蝉が鳴かない夏とは、いったいいかなる夏なのであろう。
(2019.07) |
この時の夏は、今と逆に 「梅雨が長く低温の夏」
であったことがわかる。 いずれにしても、地球環境の変化にともなう異常気象は自然界にさまざまな変異をもたらしているのだ。 蝉が鳴かないぐらいだから、人間の体にも
「応分の異常」 をもたらしていても何ら不思議ではない。 |
※)以下蛇足ながら
気になる話がある。 それは蝉が鳴かない年は 「大地震が起こった」 という口伝記録のことである。 1923年9月に起こった関東大震災では、同年の夏に神奈川県川崎市多摩区の一帯で蝉の声が聞かれなかったという。
また宝永地震が発生した1707年では、三重県亀山市で蝉がまったく鳴かなかったという。 蝉が鳴かないのは大地震の前兆なのか否か?
杞憂であることを願うのみであるが、「天災は忘れた頃にやってくる」 の戒めのごとく、災害はいつ起こるか分からない。 常に万全の備えを怠ってはならない。 |
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