Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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信じられない時代〜無気力と自信喪失
 先日。 アメリカ、ドイツ、日本において実施されたという 「意識調査の結果」 を知ったことで、それまで 「もやもや」 していたものが一挙に解決したかのような気にさせられた。
 その調査によると、日本では時の政権を 「信じられない」 という人が 50% 以上とその他の国と比べれば大差の 1位 であるという。 だが今後に 「何に期待するか」 を問うと 90% 以上が 「国と地方自治体」 であるという。 では職場や仲間など 「周りに信じられる人がいるか」 を問われると、大半の人は 「いない」 と答え、自分が 「周りから信じられているか」 を問われると、その大半が 「わからない」 と答えたという。 ちなみに、アメリカ、ドイツでは 90% 以上の人が 「周りに信じられる人がいる」 と答えるとともに、自らが 「周りから信じられている」 と答えたという。
 この結果は何を意味しているのか? 単純に考えれば、日本人は、自らの政権を信じてはいないものの、かといって自らが進んで 「何ごとかをしよう」 とは思わないという 「無気力」 な状態であるとともに、自らさえも信じられないという 「自信喪失」 の状態に陥ってしまっているのだ。 かっての高度経済成長時代には存在した 「やる気と自信に満ちていた日本人」 はいったいどこへいってしまったのか?
 物質的に貧しかった時代では精神的に豊かであった日本人が、物質的に豊かになった現代では精神的に貧しくなってしまったとは、何とも皮肉な巡り合わせである。 そこへ導いたものとは、「経済拡大一辺倒」 への傾斜であり、日々追われるごとく叫ばれたスローガンとしての 「成長!成長!」 と 「競争!競争!」 のシュプレヒコールであったのではあるまいか? かくして行き着いた世界が 「無気力」 と 「自信喪失」 が常態化した現代社会であったのである。

2023.12.08


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