Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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天秤の正誤〜その証明法とは
 結局。 人倫の天秤を優先して宇宙の天秤を省みない現代人は 「人倫の天秤を正しい」 と考え始めていることを示唆している。 では、人倫の天秤と宇宙の天秤の正誤は、いかなる方法をもって証明されるのであろうか? そもそも、科学的真理である宇宙の天秤の正誤など判定可能なのであろうか?
 つらつら、考えると 「数学」 に帰着する。 なぜなら科学的事実が数学によって証明されてきたことがその根拠である。 そして、いまだに解けない 「リーマン仮説」、「ポアンカレ予想」、「ホッジ予想」、「P対NP問題」、「ヤン・ミルズ理論」 といった難問には 「100万ドルの賞金」 が懸けられ、あまたの数学者が今も尚、日夜その解を求めてあくなき挑戦を続けている。
 17世紀にフランスの数学者ピエール・ド・フェルマーが残した 「フェルマーの最終定理」 は証明されるまでに 350年余の時間 を要した。 人倫の天秤と宇宙の天秤の正誤を判定するなどという浮世離れした難題を解くのは、やはり彼ら数学者であろう。 現代人はいかなる信じがたいことであっても、数式をもって証明されれば 「納得する」 ものである。 空間が曲がったり、時間が伸縮するような不可思議な宇宙をあきらかにした 「アインシュタインの相対性理論」 が広く大衆に信じられたことがそのことを物語っている。
 だが、宇宙と人倫との本末転倒が風雲急を告げている現状を鑑みると、その証明に 350年余の時間 をかけていられる余裕は残されていない。 もはや天才の登場を期待する以外に他に道はないのかもしれない。

2023.11.18


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