Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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カノン進行〜変哲なき歌唱法
 日本の植物学者、牧野富太郎をモデルにしたNHKの連続テレビ小説 「らんまん」 の主題歌 「愛の花」 を歌う 「あいみょん」 の魅力は肩の力が抜けた変哲なき歌唱法にある。 彼女が歌ってヒットした 「マリーゴールド」 の人気の理由は、日本人好みのコード進行である 「カノン進行」 にあるとされる。
 カノン進行とはクラシック曲の 「パッヘルベルのカノン」 で用いられている 「コード進行」 のことで、具体的には 「T→X→Ym→Vm→W→T→W→X」 のコード進行を指す。 Cメジャーキーでいうと 「C→G→Am→Em→F→C→F→G」 のコード進行を指す。
 ちなみに、カノン進行が使われている曲を抽出すると以下のようである。
 山下達郎の クリスマス・イブ / X JAPANの ENDLESS RAIN / 一青窈の ハナミズキ / 松任谷由実の 守ってあげたい / AKB48の 恋するフォーチュンクッキー / 絢香の にじいろ ・・ 等々。
 このコード進行が美しいのは、構成音が綺麗につながっているからであるとされる。 音楽に門外漢の私にとっては 「何のことやらさっぱり」 であるが、選曲された曲を聴くにつれ、その流れには誰もが親しみやすいと感じる 「情趣」 が漂っていることだけは理解できる。 あいみょんの魅力である肩の力が抜けた変哲なき歌唱が カノン進行 にあったとは、私にとって 「新たな発見」 であった。 「負うた子に教えられて浅瀬を渡る」 とはこのことである。

2023.05.29


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