富とは何か？ お金は富の必要条件ではあるが十分条件ではない。 現代社会はそれを忘れ、使い勝手のいいお金に特化した飽くなき 「富の争奪戦」 を繰りひろげている。 お金でさまざまな物が買えるからといって、それのみをもって、人は必ずしも幸せになれるわけではない。

　人類は今、未来に向けて重要な分岐点に立っている。 このまま豊饒なる物質文明を続けるのか？ それとも、身に応じた豊かさと利便性にとどめた精神文明に向かうのか？

　世界が希求する経済至上主義的民主主義はもはや限界に来ている。 物質文明が追求してきた生活の豊饒や利便性は 「飽和してしまった」 のである。 必要とされない商品や役務（サービス）は、やがて廃棄される運命をたどるであろう。

　為すべきは 「豊饒から質素への転換」 であり、「人工から自然への転換」 であり、「競争から共生への転換」 である。