Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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回帰すべき原点
 司馬遼太郎が目指した 「その小をもって、その大を描く」 とは 「細部は全体、全体は細部」 とする宇宙の 「フラクタル構造」 を意味するとともに、華厳経が説く 「一はすなわち一切であり、一切はすなわち一である」 とする 「ホロニック構造」 を意味する。 これらの宇宙構造については、第1401回 「一隅を照らす」 で論考している。 その末尾で、私は以下のように書いている。
 社会から目指すべき目的と頼るべき価値観が失われてしまった現代。 人は今、何をよりどころに生きて行けばいいのか途方に暮れている。 文明の利器であるコンピュータやスマートフォン等々で盤石に備えられていても日々迷ってばかりいる。 人としての基軸がふらついていてはものの役には立たない。 最澄が説いた 「一隅を照らす」 の教えは、そんな現代人に 「回帰すべき原点」 を指し示しているかのようである。

2023.02.22


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