Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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日本の敗戦〜戦争・バブル・デフォルト
 1991年から1993年頃にかけて起きた株価や地価の急落、いわゆる 「バブル崩壊」 の損失は 1400兆円余 と言われている。 他方、第2次世界大戦における日本の損失は 800兆円余 と言われている。 バブル崩壊後の日本は失われた30年と呼ばれる低迷期に陥り、いまだにその損失から立ち直ることができない。 第2次世界大戦の敗戦を 「第1の敗戦」 とすれば、バブル崩壊での敗戦は 「第2の敗戦」 と位置づけられる。 第1の敗戦での損失は 「物質的な損失」 であったことに対し、第2の敗戦での損失は 「経済的な損失」 であったことは異なるがその敗戦に至る過程と原因は同じであることは考慮にあたいする。 それは 「現状認識の錯誤と無反省」 である。 東京都の地価でアメリカ合衆国の全土が買えると言われてもそれを 「おかしい」 と考える者はいなかった。 それは明らかにバブルの兆候であったにもかかわらず。 また第2次世界大戦の末期、停戦を主張する者はいなかった。 それは明らかに戦局は敗戦の様相を呈していたにもかかわらず。
 そして今、「第3の敗戦」 が迫っている。 日本政府の借金(国の借金)である国債の発行残高 約1000兆円 と、地方政府の借金である地方債の発行残高 約200兆円 との総額は 約1200兆円 に達する。 その額はGDP(国内総生産)比で 262% に上り、世界第1位である。 それを国民1人あたりの借金に換算すれば 1000万円 を超える。 2022年度の税収は 68兆円余 と過去最高を記録したが、対する2022年度の国家予算は 110兆円余 であって、これまた過去最大である。 予算と税収の差額は新たな国債を発行することでまかなうことになるから国の借金はとどまることなくさらに増加していくことになる。 第1、第2の敗戦同様、これを 「おかしい」 と考える者はいない。 それは明らかに財政破綻の兆候を示しているにもかかわらず。
 第3の敗戦の損失は 「デフォルト(債務不履行)」 と呼ばれることになろうが、その損失額がいったいどのくらいになるのか誰もわからない。
 第1の第2次世界大戦の敗戦(1945年、損失額 800兆円)から第2のバブル崩壊の敗戦(1990年、損失額 1400兆円)まで45年の時間を要した。 そして、第2の敗戦からすでに30年余の時間が経過した現在。 迫り来る 「第3の敗戦(デフォルト)」 に備え、我々はいったい 「何をどう備えたらいい」 のであろうか?

2022.11.13


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