Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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負の連鎖反応〜混沌のカオス
 世界は今、「混沌のカオス」 の中にある。 政治情勢しかり、経済情勢しかり、社会情勢しかり、自然環境しかり ・・ しかりである。 負の連鎖は次々と拡散と拡大を続けて縮小する兆しはない。 それは核の連鎖反応をみるかのようである。 核連鎖反応は制御棒を使って臨界が制御されているがひとたび事故に陥ると手の施しようがない。 その状況は東北大震災で炉心溶融(メルトダウン)に陥った福島第1原発の惨状をみれば明らかである。
 もし陥っている混沌のカオスの 「負の連鎖反応」 が 「核の連鎖反応」 のごときものであったとしたら手の施しようがないものになる。
 混沌のカオスは物理学でいう複雑系の 「カオス理論」 から説明される。 カオス理論とはほんのわずかに初期条件が変わるだけで、結果に大きな差が起こる現象を言う。 その予想がつかない複雑な現象は微分方程式を使って説明される。 カオス理論を語るに有名な 「バタフライ・エフェクト(バタフライ効果)」 は気象学者のエドワード・ローレンツが1972年にアメリカ科学振興協会で行った講演のタイトル 「ブラジルの1匹の蝶の羽ばたきはテキサスで竜巻を引き起こすか?」 に由来する。 この詩的な表現は 「人間は運命から逃れられるか?」 という運命論と結び付けられそのご多くのドラマや映画の題材となった。
 地球の片隅で羽ばたいた1匹の蝶によって世界が崩壊してしまっては原発のメルトダウンどころの騒ぎではない。 バタフライ効果が現在進行している負の連鎖反応に同調しないことを願うばかりである。

2022.09.07


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