目的が瞬間にあるとすれば、あてどない放浪の旅であっても最高の瞬間に出逢う唯一無二の旅へと転化する。 それは放浪の俳人、種田山頭火の人生しかり、男はつらいよでの渡世人、車寅次郎の人生しかりである。 だが彼らの目的が何であったのかはその瞬間に出逢った彼らにしか分からない唯一無二であって、他人があれこれ詮索しても無意味である。 それは犬や猫が出逢った 「瞬間の意味」 を彼らに代わって斟酌しても無意味であることと同じである。