Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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軽薄短小に思う〜反骨者の哀愁
 どうやら 「軽薄短小」 は製造技術が進んだ工業化社会で作られる商品に限ったものだけではないようである。 それはIT技術が進んだ情報化社会で生きる人間にも及んでいるようである。 行き交う人格しかり、飛び交う言葉しかり、営まれる生業しかり、身を装う服装しかり、催される興業しかり ・・ しかり。 軽薄短小でないものはない。
 せめて人間ぐらいは、かってあったように 「重厚長大」 であってほしいのだが、それは 「時代遅れの男になりたい」 と世の潮流に背を向けて生きる反骨者の心に架かる儚い哀愁であろうか?
時代おくれ / 歌 河島英五 作詞 阿久悠 作曲 森田公一

一日二杯の 酒を飲み
さかなは特に こだわらず
マイクが来たなら 微笑んで
十八番を一つ歌うだけ

妻には涙を 見せないで
子供に愚痴を きかせずに
男の嘆きは ほろ酔いで
酒場の隅に置いて行く
目立たぬように はしゃがぬように
似合わぬことは無理をせず
人の心を見つめつづける
時代おくれの男になりたい

不器用だけれど しらけずに
純粋だけど 野暮じゃなく
上手なお酒を 飲みながら
一年一度酔っぱらう

昔の友には やさしくて
変わらぬ友と 信じ込み
あれこれ仕事も あるくせに
自分のことは後にする

ねたまぬように あせらぬように
飾った世界に流されず
好きな誰かを思いつづける
時代おくれの男になりたい
目立たぬように はしゃがぬように
似合わぬことは無理をせず
人の心を見つめつづける
時代おくれの男になりたい
 さすがに阿久悠。 胸の内に、これ以上、付けたす言葉はひとつとしてない。

2022.06.09


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