Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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静的な宇宙と動的な宇宙
 宇宙が時空が重なった刹那宇宙と時空が連なった連続宇宙で構成されていることは前回述べた通りである。 刹那宇宙は時間軸と垂直にカットされた断面宇宙であって、時間経過がないため万物事象の胎動は原因と結果で構成される因果律に依存しない。 他方。 連続宇宙は時間軸に沿ってカットされた断面宇宙であって、時間経過があるため万物事象の胎動は原因と結果で構成される因果律に依存する。 因果律に依存しない刹那宇宙で生起する出来事はすべて 「偶然の産物」 として処理され、因果律に依存する連続宇宙で生起する出来事はすべて 「必然の産物」 として処理される。 だがこれらの宇宙像は過去・現在・未来と時間が連続する線形時間を使って1枚の紙の上に描いた 「静的な宇宙」 であって、リアルとしての 「動的な宇宙」 ではない。 「動的な宇宙」 とは以下のような宇宙である。
 過去・現在・未来と連続する線形時間を使って投げあげたボールの運動軌跡を1枚の紙の上に描けるからといって、実在場であるひとつの現実空間の上にその運動軌跡を描けるわけではない。 過去・現在・未来と連続する線形時間を使って万物事象の運動軌跡を脳裏にある記憶としての1枚の紙の上に描けるからといって、実在場であるひとつの現実空間の上にその運動軌跡を描けるわけではない。 実在場である現実空間にあるのは軌跡なき万物事象の運動そのものである。
 線形時間を廃した宇宙構造とは 「軌跡のない日々」 で構成された 「今の今」 という 「現在だけの世界」 であって、過去と未来はその現在だけの世界に重層的に含まれている。 (かくなる宇宙像の詳細は 「シンプルな宇宙」 をご参照ください)

2022.05.20


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