Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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過去と未来の置き所
 過去や未来が重層的に内蔵された現在だけで構成された 「シンプルな宇宙」 が理論物理学者デビット・ボームが提示した 「暗在系と明在系で構成された宇宙構造」 に相似することは 第1579回 「時間も空間もない宇宙構造」 で述べた。 しかして、ボームの語るところは以下のようである。
 物質宇宙とは、同時系列で重層している時空間が瞬間、瞬間に我々が認識できる形で現実世界に象出することで実在場が構築され、この瞬間が連続することで、我々に時間という概念を発生させ、時系列で連続している時空間を認識の中に構成させることで存在している世界かもしれない。
 その主旨を私なりの表現に変換すれば以下のようになる。
 物質宇宙(現在だけのシンプルな宇宙)とは、同時系列(現在)で重層している時空間(幾つかの実在としての過去と幾つかの実在としての未来)が瞬間、瞬間に我々が認識できる形で現実世界(現在世界)に象出することで実在場が構築され、この瞬間が連続することで、我々に時間という概念を発生させ、時系列で連続している時空間(線形時間で考えた時空間)を認識の中に構成させることで存在している世界かもしれない。
 さらに整理すれば以下のようになる。
 現在だけのシンプルな宇宙は、現在に重層している幾つかの実在としての過去と幾つかの実在としての未来が瞬間、瞬間に我々が認識できる形で現在世界に象出することで実在場が構築され、この瞬間が連続することで、我々に時間という概念を発生させ、時系列で連続している線形時間で考えられた “ 時が流れる ” とする時空間を認識の中に構成させることで存在している世界かもしれない。
 仮に 「時間も空間もない宇宙構造」 から導かれた 「過去や未来が現在に含まれている」 とする論拠を是とすれば、人生は 「過去への執着」 や 「未来への拘束」 から解き放たれ、自由と安寧を手にすることが可能となる。 そうであればこれもまた 「自らに向けた哲学」 であってしかるべきであろう。 「過去と未来の置き所」 としての 「現在」 は永遠性を秘め 「存在の時めき」 に輝いているのだ。 それはまた時空を超えた彼方にあるであろう 「桃源郷」 のようである。

2021.12.23


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