この世における未来が予定されないとする説は人々に不安をもって迎えられるに違いない。 だが未来が予定されないことは、換言すれば 「何でもあり」 の 「自由を獲得する」 ことでもある。 さらに付言すれば 「こうでなくてはならない」 という 「理由が消失する」 ことでもある。

　有史以来このかた人間は何事においても理由をつけたがる生きものである。 それは国会答弁においてしかり、村内の会合においてしかり ・・ しかりである。 だが理由はやがて理屈に変化し屁理屈に転じることで世の津々浦々に口角泡を飛ばす論争を勃発させるに至る。 他方、理由をもたない犬や猫であってみれば、かくなる奇妙な人間の生態を小首をかしげて傍観するだけである。 生きる理由をもった人間と理由をもたない犬や猫のいずれが 「しあわせに近い」 か 「推して知るべし」 である。