Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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表現力の条件〜もっと思いを
 意識を主体とした情報社会では 「表現力」 が重要な手段となる。 それは物質を主体としてきた今までの社会における 「行動力」 が重要な手段であったことの裏返しである。 表現力の実効性はその表現が真理や真実等で構築されていなければならないが、それは表現力の必要条件を満たしただけであって、その表現が感動させるものでなければ十分条件とは成り得ない。 必要条件を満たしただけの表現は単に 「よくできた表現」 というだけであって、例えて言えば 「仏作って魂入れず」 のごときものである。
 頭脳は右脳と左脳に分かれている。 左脳は認識機能を受け持ち、右脳は感情機能を受け持っている。 よくできた表現とは、主に左脳のみで構築された表現であり、感動する表現とは、主に右脳で構築された表現である。 それは理と情の違いであり、代数学と幾何学の違いであり、デジタルとアナログの違いである。
 還元すれば、思考と情操の違いであって、それが 「考えた表現」 なのか 「思った表現」 なのかの違いである。 依って、表現力を向上させようとするならば、より多く考えることよりは、むしろより多く思うことが肝心要となる。

2021.07.02


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