Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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可能性に賭ける人生〜逆因果律への移行
 ベストエッセイセレクション 「逆因果律と経路積分」 の中で述べた逆因果律についての記述を以下に抜粋する。
 逆因果律とは未来が原因で過去が結果という時間を逆にした因果律である。 未来に成した結果によって、過去に成した原因の意味が変更され得るとすれば、未来を原因と考え、過去を結果とすることが可能となる。 人はその人生観において過去は絶対的に変更不能ということを信じて疑わない。 ゆえに過去の失敗は取り返しがつかない。 だが 「人間万事塞翁が馬」 という諺のごとく、その失敗があったがゆえに未来において何事か成功したとき、過去の失敗は取り返しがつかないどころか必要不可欠な失敗となる。 つまり、未来に成す何事かに依って、過去に成した何事かを変更しうる。 過去が未来において変更可能であるとすれば、未来の意味は大分変わってくる。 「可能性に賭ける人生」 とは、この未来を原因化する人生である。 9回裏2アウト満塁3点差、ここでホームランを打てば過去の失敗は成功に転化する。 この一発逆転を目指してヒーローはバッターボックスに入るのである。 勝負は下駄を履くまでわからないのであって 「物事は終わりよければすべてよし」 なのである。
 若者には可能性があり老人には可能性がないという考えが世間での常識である。 なぜなら若者の可能性はもっぱら多くの未来が残されていることに基づき、老人の可能性はもっぱら多くの未来が残されていないことに基づいているからである。 この常識に従うと老人は多くの可能性が残されていないことをもって意気消沈してしまう。 高齢化社会が進む日本ではその老人の元気のなさが今後において大きな問題となるのではあるまいか。 だが逆因果律に依拠すれば老人の人生もそうすてたものではない。 あるいは今後の高齢化社会における 「大きな福音」 となるかもしれない。 もし可能性に賭ける人生を選択するのであれば彼の人生は大きな創造性に満ちたものに転位し、おのが成功に向けての充実の日々が到来するに違いない。

2019.07.29


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