|  もし壁を押した手が何らも押し返されなかったとすれば、そこには物理学が土台とする物的存在がないことを意味している。 
                人間の 「実存」 とは、この世の津々浦々で限りなく繰り返される作用と反作用の継続によって成立しているのである。 第2次世界大戦後の世界に大きな影響を与えた20世紀最大の哲学者、ジャン=ポール・サルトルの思想は 
                「実存主義」 と呼ばれたが、その実存もまた否定しがたいこの 「作用と反作用」 における 「実存」 の上に構築された哲学的思想なのではあるまいか。 
                だがかくなる 「哲学的な実存」 よりも 「実存とは作用と反作用の継続である」 とする 「物理学的な実存」 の方が簡潔にして明瞭な気がするのだがどうであろう? |