Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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時代を越えて生きるもの

 レイモンド・チャンドラーの代表作「長いお別れ」を「ロング・グットバイ」の題名でNHKがドラマ化、今日からオンエアするという。物語の私立探偵、フィリップ・マーロウは、時代の流れに逆らい、ロサンゼルスの片隅で、孤絶したように生きている。時代が変質していってしまっても、ひとり信じた道を頑なに貫いて生きているのである。だが、そのことによって時代を越えて永遠のものとなった。60年以上たった今もなお、それは色あせることなく生き続けている。他方、時代の変質におもねったものは、時空の彼方に消え去ってしまい、今は何ひとつ残っていない。つまり、時代を越えて生きるものとは、時代におもねり迎合したものではなく、時代に逆らい抵抗したものなのである。

 If I wasn’t hard, I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.
         “ タフじゃなくては生きていけないが、やさしくなくては生きている資格がない ”

2014.04.19


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