Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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超人への希求
 絶対的主観が確立されなければ過去は参考にならず、また未知なる未来も想像することはできない。

 かかる絶対的主体性の本質とは、全体である「皆」がしても、個である「私」はしないことであり、個である「私」のすることを全体である「皆」に強制しないことである。

 ニーチェが提示した「超人」の人物像とは、このような絶対的主観を確立した人間像のことであり、また彼が言う「力への意志」とは、その絶対的主観を確立する力を「渇望する意志」のことであろう。
 であれば、「超人への希求」と「力への意志」こそが、現実世界を形作っている「基本的エネルギ」であり、可もなく不可もなく生きる「末人」に陥ろうとする現代現実世界に生きる個である人間が、かかる状況から脱皮する唯一の道ではあるまいか・・?

 ニーチェの提示する超人とは・・世の倫理観にむやみに従うことをしない・・自己存在の力を確信し・・姿形は誇りに満ちた貴族のごとくである・・みじめさという概念を持たず哀れみを嫌い・・妥協せず中庸を求めない・・枝葉末節にこだわらず大きく展開し・・可能性に賭け・・堂々として静かであり・・あわてることなくすべてを裁断し・・しかして、強大な意志力をもつ。

2003.9.30

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