Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知のワンダーランドをゆく〜知的冒険エッセイから
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大人物とは
 この世の不条理や不遇のひとつひとつに腹を立てていたのでは人間体が幾つあっても足りない。人間個々の欲求がすべて「自己保存の法則」に従っている以上、相互の欲求のすべてがともに成り立つことは不可能である。ある人の欲求はまたある人の欲求を阻害することになるのは必然の理である。この時、阻害された人は阻害した人に対し腹を立て口汚くののしることになるがそのののしっている人自身がまたある時今度は阻害する側に立つことになる。
 自己の欲求を「主張」する人はまた他者の欲求に対しても「寛大」でなければならない。世の不条理や不遇にいちいち腹を立ててはならないのである。
 大人物とは「この構図」をよく理解している人であり、いかなる不条理や不遇をも笑って「平然と腹に納める」ことができるのである。この大度量が自己に幸いをもたらすとともにまた多くの他者にも幸いをもたらす。誰しも自分を非難する人よりも自分を許容し認めてくれる人を好きになるのは必然のながれであり、このながれは理屈ではなく多く感情の問題なのである。
 つまり、人はその「理に従う」のではなくその「情に従う」のである。
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