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ビジョンウィンドウから眺める信濃の四季

窓の向こうに世界が見える〜信州つれづれ紀行から
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白根山湯釜(2) / 群馬県吾妻郡草津町
原始の眺め
 白根山に来たのは今回で3度目になる。最初に訪れたのは30年以上昔にさかのぼるが風景は当時と少しも変わっていない。それは地球の原始をかいま見るような、近代文明に慣れ親しんだ人間にとっては知らず畏敬の念で茫然自失してしまうような、風景である。標高2161mの活火山。エメラルドグリーンに染まった火口湖の湯釜(直径300m、水深30m)を南の山頂から撮影する。以前は湯釜をすぐ足下に見おろせる地点まで行けたのであるが現在はその湯釜を遠くに眺める地点までしか近づけない。ちなみに湯釜の水質はPH1〜2の濃度で魚も住めないほどの強度の酸性湖であって、それは世界一であるという。
 ともあれこのようなカットが撮影できたのは希にみる猛暑列島のたまものであろう。なぜなら通常はしばしば立ちこめるであろう冷たい山霧も暑さでたちどころに蒸発してしまい山頂の景観を覆う暇さえないのであるから。そのためか訪れた観光客の風情は9月ではあってもいまだ夏休みのようである。
文・撮影 / 柳沢 健
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