Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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ホロニック(4)〜意匠デザインへの展開
 「ホロニック」 から生まれた意匠デザインが 「MANDARA」 である。 この意匠デザインは密教的宇宙を描いた両界マンダラ(金剛界マンダラと胎蔵界マンダラ)のコンセプトから導かれたものである。 マンダラとはその密教を代表する如来、菩薩、観音 ・・ 等々が一同に会した 「宗教的場面」 を図案化したものである。
 「場面」 はその登場人物の組みかえによって千変万化する。 それは地球上の各国が一同に会した国際連合代表者会議がその代表者の順位や配置をかえることで場面が一変するのと同じである。 またかくなる 「場面」 の構築過程は、私が提示する 「直観的場面」 や 「歴史的場面」 の構築過程と相似的で等価なものである。 意匠デザイン 「MANDARA」 はかくなる直観を覚醒させ場面構築を促すことを画した 「ベーシックコンセプトデザイン」 なのである。
 華厳から密教に出た空海はその場面構築を最も得意とした人である。 「綜芸種智院」 は829年に空海が庶民教育や各種学芸の綜合的教育を目的として京都の左京九条に設立した私立学校であるが、今もなお 「種智院大学」 としてその源泉は受け継がれている。 綜芸とは各種の学芸を綜合するという意味である。 空海はその学芸の 「総合プロデューサ」 のような人でもあった。 その思想は図形的マンダラにとどまらず、京都東寺講堂の仏像配置を編集(アレンジ)した 「立体的マンダラ」 に、また高野山金剛峯寺創建における山と寺院の配置を編集した 「空間的マンダラ」 にその才をいかんなく発揮している。

2018.06.12


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