Linear 未知なる時空を訪ねる旅の途中でめぐり逢った不可思議な風景と出来事
知的冒険エッセイ / 時空の旅
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可能性の海〜未知なるものとは
 往年のアイドル歌手、西城秀樹が63歳で他界した。 脳梗塞との闘病生活を続けながら歌手への望みを捨てなかった。 「明日に向かって現在進行形のまま逝きたい」が最期の思いであったという。 常に未来に向かって生きたということであろう。 だが現代人の多くは未来よりも過去に生きることのほうに傾斜しているように観える。
 あえて形なき未来に向かって生きることは180度の思考転換を要する。 「発想の転換」とは巷間よく耳にする言葉である。 「過去から未来に思考を転換する」ことは大きな発想の転換でもある。 しかしながら、この転換はそう容易ではない。
 現代人は豊かになるにしたがって「確定した過去」よりも「不確定な未来」を怖れるようになってしまった。 それは自己保存の本能から来る必然の成り行きでもある。 だが形なき未知なるものこそが、希望を生み、創造を生み、もって新たな世界を生み出す源泉なのである。
 私はよく 「可能性の海」 という言葉を使う。 (アイデアシステム「可能性の海」を参照) 畢竟。未来とは「可能性の海」である。 その可能性の海に飛び込む 「勇気」 こそが新たな未来を約束する 「パスポート」 である。 入ってみれば、そこはあらゆるものの 「生命の海」 であり、またあらゆるものの 「豊饒の海」 でもある。

2018.05.18


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