Linear 明日を拓く価値ある知的資産(知的所有権/知的財産権)とは

開発の成果は時流に乗って
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 巷間「歌は世に連れ、世は歌に連れ」と言われます。発明や開発もまた同じに世に連れてヒットするものとそうでないものがあります。

 いくら素晴らしい発明や開発であっても、時流に乗らなければ世に出ることはかないません。歴史作家、司馬遼太郎氏は「時代の流れに乗ってやって来る者にはかなわない・・」とその歴史人物についての箴言集に書いています。
 信長しかり、秀吉しかり・・龍馬しかり。彼らは時流に乗ったがゆえに、かくあのような獅子奮迅の活躍が可能であったわけです。

 しかしながら、時代の流れを読むことは、ある面、発明や開発することよりも、さらに難しいことです。いつの世も、過去をあれこれ論じることはできても、来たるべき未来は常に不確定であり、いかなる人も確と定かに論じることはできません。

 いかにすれば時流に乗る発明や開発ができるのでしょう・・?

 株式の売買手法(トレーディング手法)に例を採って考えてみます。株式売買の手法には「順張り」と「逆張り」という2つのトレーディング手法があります。
 「順張り」とは、上げ相場であれば、その上げのトレンド(流れ)に逆らわずに買い、下げ相場であれば、逆らわずに売るという手法であり、「逆張り」とは上げ相場であれば、逆にその上げのトレンド(流れ)に逆らって売り、下げ相場であれば、逆らって買うという手法です。

 投資手法として甲乙をつけることはできませんが、一般的に、短期投資(デイトレード等)の場合には「順張り」が、長期投資の場合は「逆張り」が有効であると言われています。

 発明や開発においても、時代のトレンド(流れ)に乗ることにおいて、株式トレーディングが目指すものと何ら変るところはありません。
 しかしながら、時代のトレンドを追って発明や開発を行なうとする「順張り手法」は、往々にして、その発明や開発が完成した時には、すでにそのトレンドが過ぎ去っている場合が多いものです。特に現代のように価値観が多様化し、時流の変化が激しい時代であれば、なおさらです。

 今その時、トレンドに乗っているラーメン屋を目指しても、出店する頃には、すでにトレンドはラーメンからスパゲティに移行しているというわけです。
 俗に言われるように「幸運の女神は前髪を掴まなくてはならない」のであって、その姿を見てから捕まえようとしても、逃げ足の速い女神であってみれば、後髪の2,3本しか掴むことはできません。

 発明や開発において、大きな成果を得ようとするならば、やはり長期投資における「逆張り手法」が有利であると考えられます。その手法は幸運の女神が通る場所で待機する「待伏せ手法」と表現する方があるいは的を射ているかもしれません。

 しかしながら、「待伏せ手法」は、その発明や開発を開始する時点にては、求めるトレンドは姿も形もありませんから、周囲からの激しい逆風を覚悟しなければなりません。さらに、その逆境を乗越え、目的の発明や開発を成功させたとしても、その後において、現代人が最も苦手とする「時の経過」という「時間効果」を克服しなければなりません。
 つまり、求めたトレンドが到来するまで、それなりの時間経過(時として5年、10年の期間)を通過しなければなりません。忍耐強く、じっと時を待ち続けることは、言うは易し、行なうは難しであり、そう簡単なことではありません。畢竟。仮に待ち続けられたとしても、必ず願ったトレンドがやって来る保証は、どこにも無いからです・・・。

 株式トレーディングにおける成功者の割合は全体の「5%」程度であると言われています。つまり、残りの「95%」の者は成功できないわけです。おそらく発明や開発における成功確率もまた同程度ではないでしょうか・・?

 以上をまとめると、発明や開発で成果を得るためには、時代の方向性をしっかりと観察するとともに、来たるべき未来のトレンドを見定め、開発時点におけるトレンドに惑わされることなく、自信と信念をもって、目的とする発明や開発を成し遂げ・・・あとは、忍耐強く、気長に、トレンドの到来を待つことに帰着します。

 2005.8.10

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知的所有権と知的財産権
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開発の成果は時流に乗って
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