Linear 明日を拓く価値ある知的資産(知的所有権/知的財産権)とは

グローバル経済と知的財産権の意味
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 現在進行するグローバル経済と知的財産権はいかなる関係をもつのでしょう・・?

 今の世界経済情勢を一言で表現すれば「世界市場経済」ということになるでしょう。世界経済は従来の各国地域市場経済を衰退消滅させて、世界全地域をひとつの領域とする世界市場経済に移行しようしています。
 その現れは、近くは隣国中国市場の台頭であり、遠くは東欧各国市場の台頭です。東西冷戦構造崩壊以降、世界は急激に市場経済社会に変貌しようとしています。

 労働市場は低コスト労働力を求めて世界全地域に広がりつつあり、ともなった富の移転は日々世界の隅々に拡散を続けています。その影響は日本経済の空洞化として、またさらにはさまざまな国々の労働力の日本労働市場への参入として顕れています。

 このような世界経済情勢の中で、いわゆる日本経済の景気回復とは、いったい何を意味するのでしょう・・?

 日本国籍のグローバル企業群の企業収益の改善をもって日本経済の回復がなされたとする見解はあまりにその内容を検討しない短絡的な視点ではないでしょうか。
 グローバル企業群がここ数年において行ったことは、リストラという名目で為された国内生産拠点の廃業と国内人員の削減であり、その逆の低コスト労働力市場での国外生産拠点の操業と国外人員の増員ではなかったのではないでしょうか・・?

 このような経営戦略で向上したグローバル企業群の企業収益の向上をもって日本経済の回復を論ずることは「木を見て森を見ないと」同じに大局観を喪失しているように思えるのは私だけではないでしょう。

 世界市場経済をいち早く推進した米国ではこの構造が明瞭に顕れ「雇用回復なき景気回復」との言葉でヨーロッパ諸国から痛烈に批判され、景気回復局面に向かいつつもドル売りの原因となっています。

 世界市場経済は未だ世界各国が経験したことのない未曾有の新たな事態の出現なのです。この流れを止めることも、いわんや逆流させることもできません。「知ってしまった世界を知らない」と言うことはできないのです。世界はますます大競争の時代に移行し、世界市場は拡大を続けるでしょう。

 ではこのような経済情勢の中で、日本製造業はいかにして自己の存在を維持確立できるのでしょう・・?

 私見を簡潔に述べれば、低コスト労働力の生産システムに負けないこと、世界市場で製品価値を認めさせることの2つの解決策です。
 低コスト労働力の生産システムに負けないこととは「技術力の向上」を意味し、世界市場で製品価値を認めさせることとは「オンリーワン製品の確立」を意味します。

 私は2つの解決策を効果的に実現し、保証するものが「知的財産権」なのではないかと考えてきました。換言すれば、知的財産権は世界市場経済の大競争を闘い抜く強力な「武器」であり、その市場を制御する「制御手段」であると思います。

 技術力を向上しても、早晩世界各国の技術は追いついて来ますし、よしんば低コスト労働力の生産システムに勝ったとしても、さらなる過当競争が待っています。その中で日本製造業が適正収益を維持し発展することは至難の業となるでしょう。

 日本製造業が将来に渡り世界市場経済で生き残る道は、2つの解決策において知的財産権を早急に確立し、それを事業の基盤として、世界大競争に対処する以外に他に有効な方法がありません。

 閑話休題して、別の視点から知手財産権の意味を考えてみましょう。

 人間の社会構造は以下の変遷を辿りました。
 狩猟採集社会→農耕社会→工業社会→(情報社会)

 同様に日本工業社会における産業構造は以下の変遷を辿りました。
 労働集約型産業→設備集約型産業→(知識集約型産業)

 現在は社会構造として工業社会から情報社会への転換点に位置し、産業構造として設備集約型産業から知識集約型産業への転換点に位置しています。

 工業社会から情報社会への転換で最も特徴的なことは「有形な物体」から「無形な情報」への価値のシフトであり、設備集約型産業から知識集約型産業への転換で最も特徴的なことは「有形生産手段である設備」から「無形生産手段である知識」への生産手段のシフトです。ともに今までの社会構造と産業構造にはなかった有形から無形への価値転換です。

 つまり、現在起きている世界市場経済への転換は人類社会の進歩発展にともなって起きるべくして起きている現象なのです。

 この変遷の中で我々が為さなければならないことは、時代変化の真相をしっかりと見抜き、新たな社会構造と産業構造へ速やかに対応することと、その変化に順応できる自己変革を行うことです。

 時代変化の真相が認識されて、その対応と変革が進めば、来たるべき情報社会の知識集約型産業での「中核的資産」として知的財産権の価値がさらにクローズアップされてくることが、このような視点からも予測されるのです。

 2003.8.01

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